新型コロナから回復したあと 食べ物が喉で止まる感じがする 唾さえ飲み込みにくい 喉にいつも何かつかえている そんな症状に悩む人がいます。
検査をしても大きな異常は見つからないのに 恐怖感や不安で食事が怖くなり 体重が落ちてしまうケースも少なくありません。
この記事では コロナ後遺症で飲み込みにくさに悩まされながらも 医療機関での治療と嚥下リハビリ セルフケアで改善していった体験談と 主な治療法 成分 サプリメントの考え方をまとめます。
コロナ後遺症 飲み込みにくい ロングコビッドとは
ロングコビッドで報告される飲み込みにくさや喉のつかえ感
コロナ後遺症では 咳や息苦しさ 倦怠感だけでなく 喉の違和感や飲み込みにくさを訴える人もいます。
典型的な表現としては 次のようなものがあります。
・固形物を飲み込む時に 喉の途中で引っかかる感じがする
・ゼリーや水でも ゴクンと飲み下すまでに時間がかかる
・喉にいつも何か張り付いているような 圧迫感がある
・飲み込む瞬間に 息が止まるような怖さを感じる
飲み込む動きは「嚥下」と呼ばれ 舌 喉の筋肉 食道の動きが連携して行われます。
コロナ後は これらのどこかの機能低下や過敏さが残り 飲み込みにくさとして意識されることがあります。
なぜコロナ後に食べ物や唾が飲み込みにくくなるのか
飲み込みにくさの背景には いくつかの要因が複合的に関与していると考えられます。
一つは 上気道(鼻〜喉)や食道の炎症が長引くことです。
コロナで喉の粘膜がダメージを受けたあと 軽い炎症や乾燥が続くと 少量の刺激でも「つかえる」「ヒリヒリする」と感じやすくなります。
二つ目は 自律神経の乱れです。
緊張や不安が強い状態では 喉や首の筋肉が無意識に力んでしまい 本来スムーズに動くはずの嚥下運動がぎこちなくなります。
三つ目は 胃酸逆流や食道の過敏です。
逆流性食道炎があると 胸や喉の奥がヒリヒリして 飲み込みのたびに違和感を感じます。
四つ目は ブレインフォグや神経の微妙なダメージです。
脳と喉の連携がわずかに乱れることで 「タイミングがずれる」「飲み込むまで時間がかかる」といった感覚が出ることがあります。
コロナ後遺症 飲み込みにくいが改善するまでの体験談
体験談1 食べ物が喉に引っかかる感じが嚥下リハビリで改善したケース
一人目は60代女性。
コロナ感染から一カ月ほど経ったころから 食事中に固形物が喉の途中で止まるような感覚が出てきました。
特に肉やご飯を食べるときに ゴクリと飲み込むまでに時間がかかり 何度も水で流し込まないと不安になる状態でした。
耳鼻科と消化器内科を受診し 内視鏡やレントゲンで嚥下の様子を調べたところ 大きな構造的異常はなく 「軽い嚥下機能の低下と筋力の弱り」と説明されました。
そこで 言語聴覚士による嚥下リハビリを受けることになりました。
リハビリでは
・顎を少し引いた姿勢で飲み込む
・一口量を普段の半分以下にする
・飲み込む前に 口の中でよく噛んでまとまりを作る
・とろみをつけた飲み物から練習し 徐々に普通の水に戻す
といった指導を受けました。
自宅でも 毎食ゆっくり時間をかけて食べることを徹底し 舌や頬の筋肉を鍛える体操を毎日続けました。
二〜三週間で 「怖さは残るけれど つかえにくくなってきた」と感じ始め 一カ月後には 普通の柔らかめの食事ならほぼ問題なく食べられるようになりました。
三カ月たつ頃には 外食でもそれほど意識せずに食べられるようになり 「あの時の恐怖からはかなり解放された」と話しています。
体験談2 喉の違和感と逆流感が耳鼻科治療と漢方で落ち着いたケース
二人目は40代男性。
コロナから回復後 数週間たっても 喉に何かが貼りついたような違和感と 飲み込みにくさが続きました。
特に夜 お茶を飲むと 胸のあたりまで熱いものが逆流してくるような感覚があり その後しばらく飲み込みが怖くなっていました。
耳鼻科で喉を内視鏡で見てもらうと 粘膜に軽い赤みがあり 「逆流性食道炎と 咽喉頭炎が合わさった状態」と説明されました。
胃酸を抑える薬と 喉の炎症を和らげる漢方薬を処方され 食事内容も見直すことになりました。
指導されたポイントは
・寝る三時間前以降は できるだけ食べない
・脂っこいものやアルコール カフェインを控える
・食べた直後に横にならない
といった 逆流性食道炎の基本的な対策でした。
薬を飲み始めて一〜二週間で 胸焼けと逆流感が軽くなり それとともに 喉のつかえ感も少しずつ和らいでいきました。
一カ月後には 「水分も普通に飲めるし 食事の時の怖さもだいぶ減った」と感じられるようになり 三カ月の治療と生活改善で ほぼ自覚症状はなくなりました。
体験談3 緊張で飲み込めない感覚が心療内科とセルフケアで楽になったケース
三人目は30代女性。
コロナは軽症で自宅療養でしたが 回復後 数週間してから 「固形物を飲み込もうとすると喉がキュッと締まる」ような感覚が出るようになりました。
内視鏡検査などでは異常が見つからず 「気のせいなのかもしれない」と自分を責める日々が続きました。
やがて 食事中に「このまま詰まって息ができなくなったらどうしよう」という恐怖が強くなり 一人で食べると涙が出てしまうこともありました。
家族の勧めで心療内科を受診したところ 「コロナ後遺症に伴う不安障害と機能性嚥下障害」と説明されました。
治療では
・少量の抗不安薬で 緊張のピークを下げる
・「飲み込めている回数」に注目し 「うまくいった経験」をメモする
・恐怖が少ない柔らかいものから段階的に慣らす
といった方針が取られました。
同時に 自分でも
・食事前に首と肩のストレッチをして力みを抜く
・深呼吸してから一口目を食べる
・「怖くても これまでもちゃんと飲み込めてきた」と声に出して言う
というセルフケアを続けました。
一カ月ほどで 「恐怖で身体が固まる」ことが減り 二〜三カ月後には 外食も不安はあるものの 行けるレベルまで回復しました。
今でも少し緊張する時はありますが 「飲み込めないのではなく 怖さの方が大きいだけ」と理解できたことで 日常生活への支障はほとんどなくなったそうです。
耳鼻科・消化器内科で受けた診断と主な治療法
嚥下機能検査と胃カメラで調べるポイント
飲み込みにくさが続く場合 まず耳鼻科や消化器内科で 次のような検査が行われます。
・喉の内視鏡検査
鼻から細いカメラを入れ 喉頭や咽頭の粘膜の状態 声帯の動きを確認します。
炎症や腫れ ポリープなどの有無をチェックします。
・嚥下造影検査(VF)
バリウムやゼリーを飲み込む様子をX線で動画撮影し 舌や喉 食道の動き 食べ物の流れ方を評価します。
・胃カメラ
食道や胃の粘膜を直接観察し 逆流性食道炎 むくみ 潰瘍などの有無を確認します。
・血液検査
炎症の程度や 自律神経に影響する甲状腺機能 低栄養の有無などをチェックします。
これらで大きな異常がないかを確認したうえで 「器質的な問題」か「機能的な問題(動きや感覚の問題)」かを見極め 治療方針が決まります。
逆流性食道炎 咽喉頭アレルギー 機能性嚥下障害へのアプローチ
逆流性食道炎が主体の場合は 胃酸を抑える薬(PPIやH2ブロッカーなど)と 生活指導が中心になります。
油もの・アルコール・カフェイン・甘いもの・夜遅い食事を控えることが基本です。
咽喉頭アレルギーや慢性咽喉頭炎が疑われる場合は 抗アレルギー薬や消炎薬 吸入薬が使われることがあります。
鼻から喉に流れ込む後鼻漏が強い場合 その対策を行うことで 飲み込み時の違和感が改善することもあります。
検査で明らかな異常がないのに症状が続く機能性嚥下障害では
・嚥下リハビリ(言語聴覚士)
・自律神経や不安に対する薬
・ストレスケア(カウンセリング)
などを組み合わせて治療していきます。
自宅で続けた嚥下リハビリと生活習慣の工夫
飲み込みやすい姿勢 一口量 とろみ調整のコツ
飲み込みにくさを軽くする基本は 「無理をしない工夫」です。
・姿勢
椅子に深く腰掛け 顎を軽く引き 背筋をまっすぐにして食べると 喉の通り道が安定します。
寝転んだ姿勢での飲食は むせやすくなるので避けましょう。
・一口量
普段より意識的に一口を小さくし 口の中でよく噛んでから飲み込みます。
飲み込む前に 口の中に残っていないか ひと呼吸おいて確認すると安心感が増します。
・とろみ
水やお茶が飲み込みにくい場合 とろみ剤やゼリー飲料を使うと 流れがゆっくりになり 安全に飲みやすくなります。
慣れてきたら 少しずつ薄めていき 最終的に普通の水に戻すこともできます。
ストレッチと呼吸法で首と喉の緊張をほぐす方法
首や肩が凝り固まっていると 喉の筋肉も一緒に緊張しやすくなります。
食前や不安を感じるときに 次のようなストレッチを取り入れると 力みが抜けやすくなります。
・首を前後左右に ゆっくり傾ける
・肩をすくめてから ふっと力を抜いて下ろす
・鎖骨の上を 指の腹でやさしくさする
呼吸法も有効です。
鼻から4秒かけて吸い 2秒止め 口をすぼめて6秒かけて吐く というペースで数回繰り返すと 交感神経が落ち着き 喉の筋肉も柔らかくなりやすくなります。
ロングコビッドの飲み込みにくさに関連して語られる成分とサプリメント
ビタミンB群 マグネシウム 亜鉛など神経と筋肉を支える成分
飲み込みの動きには 神経と筋肉が大きく関わるため それらを支える栄養素が注目されます。
・ビタミンB群
神経の修復と働きに重要で 特にB1 B6 B12は 神経伝達や筋肉の動きをサポートします。
不足すると しびれや筋力低下 だるさを感じやすくなります。
・マグネシウム
筋肉の緊張と弛緩のバランスを取るミネラルで 不足すると 筋肉がこわばりやすくなります。
首や肩の緊張を和らげる目的で意識する人もいます。
・亜鉛
粘膜の修復や味覚だけでなく 神経伝達にも関わる成分です。
コロナ後の味覚障害と一緒に飲み込みの違和感がある場合 亜鉛の補充が検討されることもあります。
胃腸の粘膜と自律神経をサポートする成分や漢方
胃や食道の状態が関係している場合には 次のような成分も話題になります。
・L-グルタミン
腸管粘膜のエネルギー源となるアミノ酸で 粘膜の修復をサポートすると言われています。
・プロバイオティクス(乳酸菌など)
腸内環境を整えることで 自律神経や免疫バランスの安定に役立つ可能性があります。
・漢方薬
逆流性の症状には 半夏瀉心湯や六君子湯 胃腸の冷えや疲れには 補中益気湯などが用いられることがあります。
不安が強く 喉の詰まり感が目立つ場合には 半夏厚朴湯が選ばれることもあります。
サプリメントや漢方は あくまで補助的な位置づけであり すべての人に同じ効果が出るわけではありません。
持病や服薬との相互作用もあるため 導入する際は 医師や薬剤師に相談するのが安全です。
不安との付き合い方と ロングコビッドlongcovidからの回復を目指すうえで大切なこと
窒息への恐怖と食事への不安を軽くする考え方
飲み込みにくさが続くと 「このまま詰まって息ができなくなったらどうしよう」という恐怖が強くなります。
しかし 実際には 少量ずつ慎重に食べている限り 完全に気道を塞ぐような詰まり方をすることは稀です。
恐怖を和らげるためには
・「今まで何百回も飲み込めてきた」という事実に目を向ける
・うまく飲み込めた食事を 写真やメモで残しておく
・一人で不安な時は 柔らかい物やスープなど 安全度の高い物だけにする
といった工夫が役立ちます。
「怖いから食べない」を続けると 筋力も更に落ち 悪循環になります。
「怖いけれど 少しだけ食べてみる」を繰り返すことが 回復への第一歩です。
専門家と二人三脚で段階的に普通の食事へ戻す流れ
嚥下リハビリを行う言語聴覚士や 医師 看護師と相談しながら
・今 安全に食べられる形態(おかゆ 刻み食 とろみなど)を確認する
・負担が少ない範囲で 少しずつステップアップしていく
・無理をした日は 次の食事で戻して調整する
というサイクルを回していくことが大切です。
コロナ後遺症の回復は 波があり 良い日と悪い日が交互に来ることも珍しくありません。
一時的に後退したように見えても 数カ月単位で見れば 前より食べられる物が増えていることが多いです。
まとめ コロナ後遺症 飲み込みにくいと向き合いながら改善していくために
コロナ後遺症の飲み込みにくさは 喉や食道の炎症 自律神経の乱れ 胃酸逆流 不安や緊張などが複合的に関わって起こる症状です。
耳鼻科や消化器内科での検査と診断 嚥下リハビリや薬物療法 生活習慣の見直しを組み合わせることで 多くの人が少しずつ「普通に食べられる日常」を取り戻しています。
一口を小さく 姿勢を整え 焦らずゆっくり食べること。
怖さを一人で抱え込まず 医療者や家族と共有しながら 段階的にステップアップしていくこと。
ロングコビッドlongcovidとの長い付き合いの中で 小さな一歩を重ねていくことが 何よりの回復への近道になります。


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